AIイラストの限界と今後の展望を考える

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目次

はじめに

Stable Diffusion 、NovelAIの登場によってAIによるイラスト生成が一気に注目を集めた。

私はクリエイティブな職業とは全く関係ない素人一般人であり、せいぜい漫画やアニメを読む・見る程度だ。

そんな私が素人一般人目線で約2ヶ月間NovelAIを触ってみて感じた「AIイラストの限界と今後の展望」を書き綴ってみた。

全くの素人一般人なので的外れなこともあるかもしれないが、その辺は大目に見てやってほしいところ。

AIイラスト登場の初期

初期の頃は「クオリティの高い可愛い女の子のイラストを誰でも簡単に作れる!」ということで、一気に注目が集まった。

実際に作ってみたところ、こんな感じの女の子をプロンプトという司令を英単語でいくつか入力するだけで作ることができる画期的なシステムだった、

また、有名なキャラは再現度が高く、初音ミクやウマ娘キャラのイラストは簡単に作ることができた。

それと同時に初期の頃は「学習元に関する権利関係」の批判もとても多かった。

NovelAIは違法投稿サイトにアップロードされたイラストを学習元に使っている(らしい)とのことで、「無断で利用するなんて!」「絵師さんのイラストを勝手に使うな!」などという批判が巻き起こった。

私は法律の専門家ではないので具体的な明言は避けるが、「AIに学習させるのは違法ではない」という意見もあるようで、AIの学習が完全なる違法というわけではないらしい。(もう一度言うが、私は専門家ではないので否定も肯定もしない)。

「AIのイラスト生成によって絵師さんたちの仕事が奪われるのではないか」という懸念ももちろん巻き起こった。これについては後述する。

と、まぁそんな感じに初期の頃は可愛い女の子イラストで盛り上がったことと、AIイラストへの賛否が巻き起こったことなどが中心だったと思う。

中期にかけて

しばらく経つと、ただ単に可愛い女の子イラストを作るだけでは飽きてきた人も多かった。

AIのイラストにはどうもAIイラストっぽさがあり、生成される女の子は髪色や髪型は違えど似通った子ばかりである。

そんな中、話題になったのがAI樋口円香である。

なんとも奇妙なラーメンの食べ方が面白いということで話題になり、これ系のAIイラストが量産された。現実の絵師さんも「AI風◯◯」といった形でAI風にラーメンを食べさせるイラストが流行った時期だ。

この頃から徐々にAIイラストの欠陥が目立つようになってきた

欠陥とは、手や足の本数や形がおかしかったり、先ほど書いたようにラーメン等の食べ方がおもしろおかしかったり、どうも複雑な描写が上手く描けないようだ。

中期の頃はこういったAIの欠陥部分を現実の絵師さんが真似をしておもしろおかしく盛り上がった時期だった。

中期に入ってからはAIイラストへの賛否の声も徐々に落ち着いてきた。これは決して万人が認めたというものではない。AIイラストという存在が日常に馴染んできたこと。使いたい人は使い、使いたくない人(嫌いな人)は使わない(見ない)という環境になっていったのだと思う。

中期は主にそんな感じで流れていった。

中期から現在まで

おもしろAIイラストのブームが過ぎ去ってからはNovelAI等の注目度も私の観測範囲では落ち着いてきた印象だ。

さらに研究を続けている人達は元素法典といった超絶クオリティの高いイラスト生成方法を参考に派手なハイクオリティイラストを生成されるようになってきた。元素法典についてはこちらを参照してほしい。

https://note.com/sa1p/n/ne71c846326ac

具体的にはこんな感じのイラストたち。最近の傾向としてはこのような派手さを求めるようになってきており、一枚の絵画としてのクオリティを追求しているのだと思う。

最近はこういったAIイラストが多いが、そこまでの熱量のない人は引退している人も多いのではないかと。私もそのうちの1人だ。

また、最近では無料のAI生成アプリも登場し、NovelAIの活用者はさらに減っていくのだと思う。無料アプリ自体はNovelAIよりも簡単に使うことができるが、構造的にはNovelAIと同じかそれ以下の出来具合だろう。

こちらもブームが過ぎ去れば飽きて辞める人、さらに研究を続ける人に分かれていくと思われる。

AIイラストの欠陥

今後の展望を考える前に、素人一般人の私が約2ヶ月使って感じたAIの欠陥について語る。

先述したように手や足の描写や食事の描写が苦手なのはもちろんなんだが、最大の欠陥は「同じキャラを安定して出力できないこと」だと思った。

例えばAIで作ったこのキャラ。

このキャラを少しずつ動かしてアニメーションを作りたいと考えたとする。その場合、キャラクターの顔や髪型、髪色、体型、服装などを固定した上で少しずつ手や足を動かして連続した動きになるように作りたいのだが、これが安定しないのだ。

髪型が変わってしまったり、服装が全く別のものになってしまったりと、とにかく安定しない。何度か繰り返しているとほぼ同じキャラが出来上がることもあるのだが、いかんせん時間がかかりすぎる。

この方のようにアニメーションを作っている人もいるが、おそらくこの方はクリエイティブ系のプロであることと、イラスト自体は全く同じものを使えてはいない様子。(目つきや表情などがちょっと変わったりしている?と思う)

おそらくNovelAIのユーザーは同じキャラでいろいろな表情、いろいろなポーズ、シチュエーションを作りたいと思っているはずだが、それが安定してできないことは現時点のAIイラストにおける致命的な欠陥であると私は思う。

そしてもう一つ私が大きな欠点だと思うのが、「独創的なキャラクターは生成できないこと」である。

例えばこのポケモンSVの「ナンジャモ」というキャラ。

すごく独創的なキャラだと誰もが思うだろう。 

AIではこのような独創的で癖の強いキャラクターをゼロから生み出すことは現時点で不可能である。

ナンジャモのようなキャラを生み出そうとするにはAIにナンジャモをキャラとして覚えるまで学習させる必要がある。

AIイラストは現状、公開されているイラストから学習した範囲でしかイラストを生成できない。なので、どんなにクオリティの高いイラストを生み出しても「どこかにありそうなイラスト」の域を超えることはできない。

逆を言えば、この辺は現実の絵師を超えられないAIの限界であり、現実絵師との差別化になるのではないだろうか。

技術力が高く癖の強いイラストはAIには再現不可能であり、より技術力の高い絵師さんの才能が輝く結果となったと思う。

この事象は「いらすとや」の登場と似ている。いらすとやの登場により、ちょっとしたイラストを商業用であったとしても無料で利用できるいらすとやを活用する人がほとんどになった。その結果、その「ちょっとしたイラスト」を描いていた一般的な絵師の仕事は大幅に奪われたであろう。

AIイラストはこのようなちょっとした利用に向いており、商業利用がしやすい空気になればいらすとやと同じように利用されると私は思う。

今後の展望

現在はまだ商業利用し辛い空気であり、素人の小説の挿絵ぐらいなら利用できそうだが、癖の強い独創的なイラストは再現が難しいので使える範囲も限定的だろう。

現時点で最も有効な利用方法は「漠然としたイメージの具体化」だ。

「こんな感じのキャラにしたいなー」と思った漠然としたイメージをAIに具体化してもらい、それをさらに自分たちで具体化していく利用方法である。それであれば著作権に触れる可能性もほぼなくなり、有用な利用方法のはずだ。

この記事で詳しく解説されているので、興味があれば読んでみてほしい。

そして先程AIの欠陥で述べた部分、あれらが改善されることで更なる発展を遂げるだろうと思う。

同じキャラを安定して出力できるようになればかなりの進歩であるはず。

個人的に希望しているのは、アップロードした画像のキャラを瞬時に学習し、それとほぼ同じキャラを安定して出力できるようになることだ。

そうすることで、例えば漫画のキャラクターをAIを通して違ったポーズや服装、表情で表現することができ、あわよくば自分向けに同人誌も作成できるのではないかと思う。もちろん商業利用に関してはかなり黒寄りのグレーなのでその辺は常識と法律の範囲内で。

まとめ

いかがだっただろうか?

今回挙げた欠陥部分が改善されればAIイラストはさらなる発展を見込めると私は思う。

今後の発展次第では学習した範囲を超えて新たな創造性を生むAIも登場するかもしれない。

技術の進歩には大きく期待したいのと共に、AIイラストにまつわる権利関係、問題についてもなんらかの落とし所を見出して解決していってもらいたいと願う。

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